ぷろろーぐ

ここでは、コラムなどで使われた言葉の中でも、比較的専門性のある言葉についての説明をしています。「ん?これってなんだったっけ?」となった時にご覧になってください。
おなじみのキャラクターたちも、コラムではできなかった質問をぶつけて、相変わらずはたさんを困らせます。

ご挨拶

はたさん
はたさん

近年はビジネス用語、特にカタカナのかっこよさそうな響きのものがあまりに多用されすぎて辟易しつつあります。「そんなもの日本語で言えばいいのに」と感じることが、わたしだけではなく、みなさんにもよくあるのではないかと思います。
正直なところ、大手ベンチャーで働いたり、経営コンサルタントでもするのでなければ、言葉そのものを覚える必要は無いと思います。
ビジネス用語を誰にでもやたらと多用する人はきっとエラぶりたいだけです(笑)

経営に大切なのは言葉やその定義などではなく考え方です。言葉なんて知らなくても、その言葉の意味することとその考え方を理解して経営に活かした人がエラいのです。

ですから、覚えるためよりも、考え方を身につけるために、わたしや他のキャラクターと一緒に勉強していきましょう。

原価・原価率

はたさん
はたさん

販売価格に対して仕入値を原価、販売価格のうち原価の占める割合を原価率といいます。
飲食店の場合はメニューに対するその材料費のことです。
原価率は「原価÷販売価格」で求められます。

一般的に飲食店の原価率は30%以内にしなければ利益が出にくいと言われていますが、一般論に縛られる必要はありません。実際に繁盛店でも原価率50%前後のメニューも多数あります。
商品全体の原価率や商品ごとの販売数、回転数、客席稼働率、人件費など、全ての要素を合わせて利益を出すことを考えるべきです。

FLコスト

はたさん
はたさん

原価と人件費の合計のことです。
F=FOOD(原価)・L=LABOR(人件費)の頭文字をとったものです。
FLコストを、売上の60%以内におさえるのが、安定経営の一つの目安です。

面積の単位

うりぼぅ
うりぼぅ

アニキ!オレ店出すって決めてから物件色々探してるんですけど、何坪って言われてもよくわからないんですよ。なんであれって東京ドーム何個分とか言ってくれないんですか!?

はたさん
はたさん

そ…そうですね…きっと東京ドーム何個分もある物件を借りる人がいないからじゃないですかね……それにわかりにくいですし。

うりぼぅ
うりぼぅ

そうなんですか!?テレビとかでも東京ドームの数でいうからみんなそれがわかりやすいのかと思ってました。
それじゃあ、東京ドームの他になにかわかりやすいもの無いんですか?

はたさん
はたさん

そうですね。では大まかにではありますが
1坪≒3.31㎡≒2畳
とおぼえましょう。

うりぼぅ
うりぼぅ

3.31㎡はよくわからないけど、2畳はわかりやすいですね!
あ!でも確かタタミって地方によって大きさが違うって聞いたことあるんですけど。

はたさん
はたさん

そうですね。比較的広い地域で使われている畳だけでも4種類はあります。ちなみに1坪が約2畳というのは「中京間」と呼ばれる大きさのものでの換算です。
ちなみに、京間で約1.81畳、江戸間で約2.13畳、団地間で約2.3畳で1坪ですよ。
(突拍子もないことを言うかと思えば、こういうことに妙にこだわったり、よくわからない人だなぁ…)

うりぼぅ
うりぼぅ

ちなみにオレの家ってどのタタミですか?

はたさん
はたさん

いや…さすがに見たこともないものの大きさはわからないんですけど…、名前の通り京間は近畿から西日本、中京間は愛知を中心とした中京地方、江戸間は関東、団地間はアパート、マンションなどで使われています。お家が一軒屋なら京間の可能性が高いかもしれませんね。

うりぼぅ
うりぼぅ

色々あるんですね~。その点、東京ドームは一つしかないから大きさが決まってて便利ですよね。

はたさん
はたさん

た…確かに…言われてみればそうですね。でも「坪」も「㎡」も大きさは決まっているのでおぼえてみたらいかがでしょう…

回転数

はたさん
はたさん

客席に何組の客が入ったかを示す数字です。全ての客席に2組ずつ入ったのならば2回転ということです。
客席数×回転数×客席稼働率=客数ですね。

回転率

はたさん
はたさん

客席1席あたり何人の客数があったかを示す数字です。回転「数」とよく混同して使われていますが、こちらは「率」です。
客数÷客席数=回転率ですが、これは回転数×客席稼働率と同じ数字なります。
単純に結果だけを見るのならば、客数÷客席数=回転率の考え方でいいですが、戦略的に考えるのならば客席稼働率を考えなければいけないでしょう。

客席稼働率

はたさん
はたさん

満席の時に全席数の内、実際に客が座っている席の数の割合です。
1人用の客席しかない店舗でなければ、満席といっても実際には空いている席があるため、回転数だけではなく客席稼働率を考える必要があります。
平均して0.6~0.7くらいでしょう。これよりも低いようですと客席の配置や構造を改善したほうがいいかもしれません。

月坪売上

はたさん
はたさん

店舗面積1坪あたりの月間売上のことです。最低でも10万円、できれば15万円は欲しいところです。
坪あたりの家賃が高い(狭いのに家賃が高い)店舗では、さらに必要となってきます。

バッシング

はたさん
はたさん

コラム内でも説明のあったとおり、客が帰った後テーブル上にあるお皿等の下げ物をする作業のことですね。
また、客が帰っていない状態で不要となった食器を下げる事をプレバッシング、または中間バッシングと呼びます。

むこりん
むこりん

ところで、バッシングってなんでバッシングっていうんですか?
わたし前に小さなレストランでバイトしてたんですけど、他にも語源がよくわからない言葉がたくさんありますよね?
最初の頃「バッシングしといて」って言われて意味わからずに意味を教えてもらおうとしたら「そんなこともできないの!」って言われた苦い記憶が…

はたさん
はたさん

そうですね。どんな業界にもそこだけで通じる業界用語ってありますよね。
語源は外国語なのに変に日本語テイストを混ぜたりして、おかしな具合になってる例も珍しくありません。

とびぃ
とびぃ

あぁ~、わかるっスわソレ。「プロパー社員」とか最初聞いたとき意味わかんなくて、意味を知ってもどうも気持ち悪いんですよね。普通に日本語使えよって思ってしまいますね(笑)

はたさん
はたさん

「プロパー」は、おかしな具合になっている代表的な例ですね。「プロパー価格」とか「プロパー店」とか「プロパーカード」とか。基本的には「正規の」という意味で使われていますね。

プロパー(proper)
適した、適切な、正確な、きちんとした、厳密な、正式の、正常の、特有の、固有の、などの意味。
英語にしたところで特に短くもならない上に、本来の意味と若干ニュアンスが変わるのにもかかわらず、わざわざ言い換える理由は謎。
むこりん
むこりん

へえ~、どこの業界も色んな業界用語があるものなんですね。

はたさん
はたさん

そうなんですよ。みんな英語・造語・略語が好きなんですね。
心理学的に見れば、特有の同じ言葉を使うことで仲間意識が芽生えるといった意味もあるかもしれませんが(笑)

ところで、バッシングでしたね。これはもともとウエイターの助手を意味する「busboy」に由来します。
その「busboy」の仕事がお皿の片付けや皿洗いなわけですが、「busboyの仕事」の総称が「bussing」もしくは「busing」なんです。

むこりん
むこりん

なるほど…それじゃ最初はわからなくても当然ですよね。

はたさん
はたさん

最初からなんでも知ってたりできたりする人なんていませんよ。
それなのに、自分が知ってることやできることを、他の人も知ってる、できるものだと思い込む人は結構多いんですよね。
うりぼぅさんのお店がそんなお店じゃないといいですね。

むこりん
むこりん

いつのまにか本当にうりぼぅのお店で働く前提になってる……

レッドオーシャン

はたさん
はたさん

競争の激しい既存市場のこと。対して新規開拓市場はブルーオーシャンですね。
業種によって考え方が変わる部分はありますが、「顧客」「競合」「自社」の三つを照らし合わせ、できるだけ多くの顧客に対して、できるだけ競合の少ない市場に、競合には無い自社だけの強みを持った商品を投入しなければならないということは変わりません。

むこりん
むこりん

はたさん、ビジネス用語を多用する人は、エラぶりたいだけみたいなこと言ってましたけど、レッドオーシャンとブルーオーシャンは、はたさんもよく使っている気がするんですが…

はたさん
はたさん

はい。これは意識的に使っています。VEGLでは無闇にビジネス用語、特にカタカナの用語を使わないようにしていますが、むこさんのお気づきの通りレッドオーシャンとブルーオーシャンに限ってはよく出てきますね。

むこりん
むこりん

(む…むこさんて…)なんでですか?オーシャンがお気に入りですか?

はたさん
はたさん

特にブルーオーシャンの日本語訳である「新規開拓市場」もしくは「未開拓市場」という言葉に対する一般的なイメージと、本来のブルーオーシャンの意味合いにズレを感じているからです。
ではむこさん、未開拓市場というとどんなイメージですか?

むこりん
むこりん

え~っと…まだ無いものや、まったく新しいものや、あと…新技術とかの市場ですか…ね?(もぅ…むこさんでも、よめさんでもなんでもいいわ…)

はたさん
はたさん

そうですね。新規開拓市場というとそういったイメージになってしまいがちです。オーシャンの名の通り海でたとえるならば、漁をする際にレッドオーシャンは他の漁船がたくさんいる場所、ブルーオーシャンはそこから離れて誰もいない場所。のようなイメージになりがちです。

むこりん
むこりん

違うんですか?

はたさん
はたさん

いえ、間違っているわけではありません。ただ、ブルーオーシャン戦略というのは、決してレッドオーシャンからかけ離れた未開の海に漁に出かけるという意味ではないんですよ。
むしろ、ブルーオーシャンはレッドオーシャンのすぐ近くにあることが多々あるのです。

むこりん
むこりん

それってどういう…

はたさん
はたさん

とびぃさんには見せましたけど、「顧客」と「競合」と「商品」の三つの丸の図、むこさんも見せてもらいましたか?

むこりん
むこりん

あ。見ました。真ん中のところは競争が激しいから、そこからちょっと外れた競合が重なってない部分が狙い目なんだ~って、おにいちゃんエラそうに言ってました。

はたさん
はたさん

まさにそれです。いい場所がちょっと外れたところにあるんですよ。むしろ外れすぎたら顧客すら重ならない部分に行ってしまいますよね。
そういえば、むこさんは最近ゲーム機のWiiにはまっているそうですね?

むこりん
むこりん

あ、はい。(なんで知ってるんだろう?)本当はWiiUが欲しいんですけど、ちょっとまだ手が出なくて…。ちなみにプレステ4も欲しいけど3で我慢しているんです。バイオハザードの新作がプレステ4だけで出たらどうしようか今から不安で不安で…リベレーションズ2はプレステ4だけじゃなくて3でも出たんですけど……それでですね…

はたさん
はたさん

(いや…そこまでは聞いていないんですが…これは無理にでも話を戻さないと……)
で、話は戻ってそのWiiなんですけど、Wikipediaに載っているくらい、有名なブルーオーシャン戦略のたまものなんですよ。NintendoDSなんかもそうですけど、技術としては目新しくもなく既存のものの組み合わせで、しかもテレビゲームとしても決して既存の市場から大きく外れることもなく、それでも独自の付加価値を提供して、高性能化・高価格化の著しいゲーム機戦争の中で低機能・低価格で新しい顧客層をつかんで大成功しましたよね。

むこりん
むこりん

……確かに!言われてみればそうです。

はたさん
はたさん

つまりそういうことです。ブルーオーシャンは実はレッドオーシャンのすぐ近くにあることも多いので、単純に日本語で新規開拓市場と言ってしまうとニュアンスがしっかり伝わらないんです。だから知らない人には意味を説明してでも、あえてブルーオーシャンと言うようにしているんですよ。

むこりん
むこりん

へえ~、色々考えてるんですね~。そんなに考えるのが好きなら今わたしがやってるゲーム手伝ってくださいよ。ちょっと今つまっちゃってて……あ、ファイアーエムブレムっていうんですけどね、実はわたしこのシリーズ大好きで。あ、これって、けっこ~~う昔、っていうか、わたしが産まれる前からあるシリーズなんですけど、昔のやつもやってるんですよ。最新のやつはちょっとキャラクターの絵柄のテイストが変わって残念な気もしてるんですけどね。そうそう、それこそWiiで出たやつもやりましたよ~。それでですね・・・・

はたさん
はたさん

い…いや、それは遠慮しておきます……。(この人はゲームの話になると止まらなくなるんですね…)

ニーズとウォンツ

はたさん
はたさん

ニーズとは充足感が奪われている状態、ウォンツとはそれを満せるものへの欲求をいいます。しかしコラム内の注釈でも少し触れた通り、今やこの言葉は口にする人の数だけ解釈があるのではないかと思うほど、様々な解釈をされています。
ニーズは顕在的でウォンツは潜在的な欲求だと言う人もいれば、物質的な欲求がニーズで、精神的な欲求がウォンツだと言う人もいて、必需品を欲しいと思うのはニーズで、良いものが欲しいと思うのがウォンツだと言う人もいる、とまぁこのような具合です。

これもまた、このページのはじめに言った通り、大切なのは言葉の定義ではありません。本来、ニーズもウォンツも顧客心理を細分化して考え、いかに「欲しい」と思わせるかという思考を巡らせるための考え方の一つです。その思考の方法の一つとして「こういう考え方もあるし、ああいう考え方もある」と思ってください。

とりあえず、商売の話をしているときに「顧客のニーズがウンヌン」という流れで「いや、ニーズだけではなくウォンツを~」などと言えば、「コイツわかってるな」と思ってもらえるかもしれません(笑)